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小沢健二 "Eclectic"

邦楽

 "LIFE"もいいけれど、このアルバムもいい。

 "LIFE"よりブラック・ミュージックに接近してるけど、その反面、すごく日本っぽい不思議な一枚。

 

Eclectic

Eclectic

 

 

このアルバムでの小沢健二の歌声は絡みつくようで”いやらしい”。

そして、アレンジは都会的で抑制されていて、温度が低い。

 

この温度の低さが聴いていてとにかく、心地がいい。

 

リズムのタイトさ、いかにもNYのR&Bっぽい重心の低さに比して、『愛について』などのメロディは凄く日本っぽい湿度を感じる。東京っぽいと思う。

 

アニミズム的、というかやっぱりゴスペルのようなキリスト教的価値観の外にある音楽だと思う。

 

このアルバムの歌詞では基本的に男女二人の世界が描かれているけど、焦点がそこに向かって絞られてるようでいて、どこか抽象的でぼやけてる。ピントがあっていない。

 

鏡や文字をじっと見ていると次第に意味がわからなくなってぼんやりしてくるように、相手に焦点を合わせようとすればするほどゆらめいている。そんな印象を受ける。

 

それには歌詞の意味があまり鮮明に頭に入ってこないような、歌唱における言葉の区切り方にも理由があるだろう。

 

歌詞自体においても、二人の背景には炎のゆらめきや木々のざわめきが常にあり、『あなた』や『あの人』を強調すればするほど、その背景のディティールの方が浮かび上がるように思える。不思議な感じ。

 

まず、こんな都会的な音なのに、誰もいない山の中で聴いたらいいんじゃないか、と思わせるような浮世絵みたいな歌詞の美しさが凄い。

もの凄く仮想的な個人の世界と自然が巧みに合わさってるところにも日本を感じる。

 

自分にとっては、いつも聴きたくはないけれど、音が心地よくて聴きだしたら止まらないアルバムです。

 

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