trapのノリ方がやっとわかった話
ヒップホップなどで、ここしばらく、というか、もう10年くらいは流行ってるTrapという音楽のノリ方がつい最近、私にもようやくわかってきたのでその話をしたい。
ずっとロックやポップスばかり聴いてきた自分ですが、いつ頃からかヒップホップなども聴き始めて徐々に好きになっていきました。しかし、どうしてもこのTrapというジャンルにだけは馴染めなかった…。
というのも、それまでのヒップホップのサンプリング主体で柔らかいオープンな音質・音楽性に比べて、Trapは打ち込みが多く、シンセ主体で音が硬め、密室的なその音質・音楽がそもそも生理的に苦手だったというのもあります。
さらに、自分にとって一番苦手だったのは、Trap特有のスネアの音!
あの軽くてピッチの高い、パシュっと気が抜けた感じの音がどうしても好きになれなかったんです(Trapでは2拍4拍にスネアの代わりにクラップが入ってることも多いですが)。
どうしてもかっこよく思えないというか。
二拍・四拍で鳴るスネアのバックビートがある程度の重さを持って、そこに向かって引っ張られるというか、引力がかかる感じがポップの味噌、というか推進力だと思ってたので、どうしても違和感があった。
それがここ最近、色々な動画を見たり、Trapを聴きあさったりしてるうちにノリ方がわかってきて、あのスネアの音色の理由もわかってきた気がします。
あの軽さにもたぶん理由があった。
まず、この動画を見ていただきたいのですが、基本的な音楽のリズムのカウントのとり方についての話です。
このリズムを 「押してとる(プッシュ)」と「引いてとる(プル)」の違い。
そしてこの「引いてとる」が自分の中に感覚としてなかったんですね。この跳ね上がる感じでカウントするとしっくりくる音楽が世の中にはいっぱいあるな、ということに最近気づきました。
こちらの記事でも同じようなことが少し違う表現ですが、語られています。
この記事ではダウンとアップの違いですね。拍の頭で、体が下に沈み込むか、跳ね上がるかの違い。(参考までに久保田利伸がLa・La・La・Love Songを歌ってるときの首や腕の振りを見るとアップでとる動きのイメージがしやすいかと思います。)
で、肝心のtrapはどうかというと……曲にもよりますが、両方のノリ方ができると思います。
そもそもtrapは二つのBPMでノレるようになっていて、例えばこの曲だと、BPM77.5でとる場合とその倍速のBPM155でとる場合です。
BPM77.5で考えると2拍4拍にスネアが入ってるということになり、BPM155で考えると3拍目にスネアが入っているということになります。それぞれ1小節の長さが違ってくるわけです。
BPM77.5で踊るとすると結構スローなテンポなので、ゆったりと沈みこむようなダウンでとるようなノリ方になるかと思います。この曲では特に前半部分はラップもそのようにトラックに乗ってます。
で、M.I.A.が出てくるところ(2:32~)で、ラップも倍速のBPM155のアップでとるようなノリ方になります。映像のM.I.A.の動き、踊りも見るとわかりやすいです。
聴いてる方は全体通して、そのどちらでノッてもいいわけですが、Trapの味噌はこの倍速のアップでもノレるというとこにあると思ってます。
そのようなノリ方をすると考えたときに、スネアの音が重すぎると倍速でノるのに邪魔になってしにくくなるので、あえてスネアの音もあの軽い音になった……と今のところ、私は推察してるのですがどうでしょうか。