角幡唯介 『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』

チベットの秘境、ツアンポー峡谷にある人跡未踏の地に挑んだ冒険家の話。

そこに幻の滝を追い求めてこれまで挑んできた数々の探検家の歴史と、著者の現在の試みが重なる。

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)

 

 

スリリング!

 

雨に濡れて、滑りやすい峡谷を上へ下へと駆け巡る。そこで一度足をすべらしたら最後、たちまち何十メートルも滑落して、谷に流れるツアンポー川の急流に飲み込まれてしまう…。

 

そんな恐怖と戦いつつ、さらに、マダニがうじゃうじゃいて、日当たりが悪く、始終湿っている不快感にも耐えなくてはいけない…。

 

うーん。読んでるだけで、よく行ったな~という場所ですね。

野山で濡れるのは寒いし、本当に嫌でしょうね。

 

最後には飢えと疲労で命の瀬戸際まで追い込まれるんですが、それでも『死ぬような思いをしなかった冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない』と書く。

冒険家の業を感じます…。

 

まるっきりインドア派の自分とは真逆…。

 

特に『若きカヌーイストの死』の章が印象的。ツアンポー川の急流に挑んだ若い日本人の死。彼の魅力がじんわりと伝わってきました。